あなたも一緒

「あの人、何にでも顔突っ込むんだから」。

そんな言葉を聞きながら、「あなたも充分、いろんなことに口を挟んで
ますよ」と言いたかった言葉を胸に収める。

人のふり見てわがふり直せだわ。なんで気が付かないんでしょう。
自分も充分「ご同類」だって。

そもそも黙っているってことが出来ない人らしい。自分が少しでも知って
いることが話題になると、ああだこうだと口を挟む。

いや…今、そういう話じゃないから。そう思うのだが、口を挟まれたことで
話はどんどん違う方向へ行ってしまう。

こうなって来るともはや習性は不可能だ。聞きたかったことも聞けず、
言いたかったことも言えずにこちらは黙するしかない。

いるんだよね、どこにでも。自分が話の中心にいないと気が済まない
人って。こちらは心の中で「空気、読めよ」と呟くしかない。

んで、誰もいないところで「あ〜〜〜〜、鬱陶しい」と口に出してみる
のだ。そうでもしないとモヤモヤとしたものが残っちゃうのだもの。

しかし、こういうのって直らないものなんだね。それどころか日々、年々、
輪をかけているようだ。うぅ…もう少し周りを気にしようよ。

『母』(三浦綾子 角川文庫)を読み始める。

昭和8年特高警察により虐殺されたプロレタリア作家・小林多喜二
その母セキの語りというスタイルをとった小説である。

数年前の『蟹工船』ブームの際に多喜二の関連作品として購入して
忘れていた。今月の小説の1冊はこれだな。