侮るな

昨年末、政府が冷温停止状態を宣言した福島第一原発で、またもや
協力会社の作業員の方が亡くなった。

放射性廃棄物を一時的に貯蔵する施設内での作業中に体調不良を
訴え、施設内の医療施設に搬送された。その時点で既に心肺停止
状態だった。

東京電力は、体への放射性物質の付着はなかったと発表している
ようだが、内部被曝は?

事故発生から福島第一原発では作業員の方が亡くなっているが、
その度に東京電力被爆との関係を否定して来た。放射性物質
影響ではなくとも、過酷な作業であることに変わりはない。

協力会社の社員だからと言って、うやむやにしていなければいいが。

『第2図書係補佐』(又吉直木 幻冬舎よしもと文庫)読了。

著者はお笑いコンビ・ピースのひとり。通常、タレント本には食指が
動かないのだが、以前、ぼんやりと見ていたテレビで彼が読書家で
あること、太宰治のファンであることが語られていた。

偶然、新刊書店で見掛けてあまり期待もせずに購入したのだが、
これはやられた。タレント本と侮るなかれ…である。

本人が「本の解説や批判ではありません」と書いているように、紹介する
本のテーマに合った著者自身のエピソードを交えての紹介になっている。

押し付けがましくなく、控え目な、各作品に対する思い入れが伝わって来る。

お笑い芸人のなかには、本を書いたり映画に出たりしたことで、お笑いという
場所から一段高い場所へ移ったと勘違いし始める人もいる。文化人気取り
になってしまうと「お前、勘違いしてないか?」と突っ込みたくなる。

この著者にはそんな風になって欲しくないなぁ。これからも、本に関する
エッセイを出してくれれば読みたい。もしかしたら、出久根達郎氏に次ぐ
読書エッセイの書き手になるかも。