復活の日

『人体冷凍 不死販売財団の恐怖』(ラリー・ジョンソン/スコット・バルディガ
 講談社)読了。

救命救急士として25年のキャリアを誇る著者が、その仕事に疲れて転職した
先は死後の復活を夢見る人たちを冷凍保存する非営利団体・アルコー延命
財団だった。

そこで見聞したことを元に綴られたのが内部告発本ともいえる本書である。

遺体を冷凍保存して未来に生き返る。SF映画や小説ではお馴染みの題材
であるが、各種の科学技術が進歩を遂げている現在では絵空事ではなく
なるかもしれぬ。

しかし、本書に書かれている内容はあまりにも衝撃的だ。復活の日の為に
頭部だけを切断して冷凍保存する処置の模様が詳細に描かれているが、
ノミで骨を切断するってなんだよ。「これが人体を扱う人間の所業か」と思う。
しかも、まだ亡くなっていない会員を冷凍しちゃったりしている。

遺体から抜いた血液や処置に使用した薬剤をなんの処理もせずにシンクに
ながしたり、下水にすてたりしてるのも医療に携わる人間としてどうなんだ?

人体冷凍保存には根強い信奉者がいるという。確かに可能性はあるのでは
ないかとは思う。だが、アルコー財団の内側で行われていることは死者への
冒涜としか思えない。

尚、この内部告発によって著者は今でも財団から命を狙われているという。

おぞましい内容ではあるが◎な良書だ。ただ、冷凍保存された頭部や頭部切断
の写真が掲載されているので、グロが苦手な方は要注意。私は食後に見ちゃった
んだけどね。汗。