奪われた命に誰も責任を負わない

プーチン閣下、またもや安倍晋三との会談に50分近くの
遅刻である。とことん、舐められているよなぁ。

それでもまた、尻尾フリフリでモスクワに行くんだろうな。
馬鹿だから。

『狙われた自治体 ごみ行政の闇に消えた命』(下野新聞
鹿沼事件」取材班 岩波書店)読了。

2001年10月31日。栃木県鹿沼市役所の環境対策部参事で
廃棄物処理場のセンター長を務める男性が、帰宅途中で姿を
消した。

自宅に残されていた一枚のメモにはふたつの会社名と、家族が
男性の名前が記されていたほかに「受け取り拒否」の文言。

男性職員は家族に厳命していた。このメモに記された相手から
贈り物があっても絶対に受け取らないように…と。

メモに記されていたのは廃棄物関連会社名と、その経営者の名前
だった。

後に遺体なき殺人事件及び行政対象暴力事件として注目されること
になる「鹿沼事件」を、地元紙・下野新聞が連載で詳細を追った
優れた事件報道である。

ごみ行政は金になる。そこに目をつけた廃棄物関連会社の経営者は、
政治家に近づき、行政に食い込んで行く。時には秒力団との繋がり
があることをちらつかせて。

甘い汁を吸い続けられるはずだった。だが、鹿沼市の担当者が変わっ
たことで事態は一変する。自治体からの指導が厳しくなり、これまで
通用していた脅しも効かない。苛立つ経営者が思いついたのは、目の
上のたんこぶである市職員を消してしまうこと。

事件の裏の途轍もない闇を感じた。市役所と民間企業との間に交わさ
れた謎の念書の存在。鹿沼市に存在した政争。市上層部に引き継がれ
ていたであろう特定企業への優遇。

多くの市職員が薄々は感じていたが、表立って正そうとはしなかった
ことにあえて挑んだ一職員が逆恨みされた事件ではないだろうか。

主犯格と目された経営者こそ立憲前に自殺しているが、実行犯4人は
その供述を根拠として裁判に付されている。

報酬目当てに罪もない市職員を殺害した4人は、勿論、罪に問われる
べきだ。しかし、それだけでいいのだろうか。

殺害された男性職員が廃棄物処理場のセンター長へ異動になる際、
当時の鹿沼市長は「君にしかできない」と言っている。市長も
官業の癒着を把握していたのではないのか。

市が独自に設けた百条委員会での調査結果も、どこか歯切れが悪い。

遺体も見つからない。事件を引き起こした背景もうやむや。残された
家族はたまったものではないだろう。

正しいことをしようとして奪われた命がある。責任はどこにあるのか。