すでに古典的名著か

「観客の暑さ対策の為、手荷物検査の場所に柵の代わりに
朝顔の鉢植えを並べまぁす♪具体的な効果はありませんけど」

やっぱり頭に何かわいているぞ、オリンピック組織委員会
決定打がないから精神論かよ。

東京2020」の「東京」は「インパール」って振り仮名を
つけてくれ。

ベトナム戦記』(開高健 朝日文庫)読了。

釣り好きの好々爺。歳若い知人の、開高健に対する印象は
これに尽きた。その好々爺も、はるか昔、戦場を目の当たり
にした作家だった。

ベトナム人でもなくアメリカ人でもない私がこんなところで
死ぬのはまったくばかげているという感想だけが赤裸で強烈で
あった」

ベトナム戦争である。ある世代には強烈な印象を植え付け、
ある世代には「間に合わなかった」と思わせ、ある世代に
は既に歴史の教科書に載るような戦争である。

私は「間に合わなかった世代」である。だから、ベトナム戦争
に惹かれるのかもしれない。事実、私の祖棚にはどの戦争より
ベトナム戦争関連の作品が多く鎮座している。

本書は高校から専門学校時代にかけて、何度も読み返し、その
後も折に触れて再読して来た。あまりにも手に取り過ぎてボロ
ボロになっているので、この際、処分しようかと思って読み
始めた。

やっぱり捨てられない。既に古典的名著と言ってもいいだろう。

1964年末から1965年にかけての約100日、南ベトナムに滞在
し、現地の人々と話し、路地裏を歩き、テロの現場を見、仏教徒
による抗議の焼身自殺を目撃する。

圧巻は南ベトナム政府軍の大隊がベトコン制圧を目的とした作戦
に従軍した際の顛末だ。この作戦での体験が、著者に強烈な印象
を受け付けただろうことが伝わって来る。

そして、ベトナム戦争での体験が後の小説『輝ける闇』『夏の闇』
に繋がって行く。

デイヴィット・ハルバースタムベトナムの泥沼から』、ニール・
シーハン『輝ける嘘』と並ぶ良書だと思う、ただ、このふたりは
ジャーナリストだが、開高健は作家だけに事実そのままではなく
脚色もあるのでは…と感じる部分もある。

余談だが、私は普段「ヴェトナム」と表記するのだが、本書の表記
に準じて「ベトナム」と書いて来た。でも、「ヴェトナム」の方が
落ち着くんだわ。

 

ベトナム戦記 (朝日文庫)

ベトナム戦記 (朝日文庫)