何が彼ら・彼女らを突き動かしたのか

アニメ「機動戦士ガンダム」に登場するロボットの小型模型を
宇宙に運んで東京オリンピックを応援しよう!

えっと…登場人物がいっぱい死んでいる戦争のアニメのロボットに
応援させていいんですかね?

『万国奇人博覧館』(J-C・カリエール/G・ベシュテル ちくま文庫
読了。

嫌ぁぁぁぁ。いくら奥様を愛していたからと言って、死後にその
脳の一部を指輪に加工して身に着けるなんて嫌ぁぁぁぁ。

嫌ぁぁぁぁ。殉教者になりたいからって、蜘蛛を大量に食べるなん
て嫌ぁぁぁぁ。

嫌ぁぁぁぁ。自分の排せつ物に執着するのは構わないけれど、その
日の排せつ物を箱に収めて会う人ごとに見せるのは嫌ぁぁぁぁ。

などと思いながら読んでいたのだが、700ページを超える奇人の
お話を通読してしまうと、途中から「なんだ、大したことない
じゃん」と読む方の感覚が麻痺して来るようだ。

芸術家や文人、学者、皇帝などの著名人から無名の庶民まで。
風変わりな人生を送った人たちの一大カタログである。

タイトルに「万国」と入っている割には、その人選のほとんどは
ヨーロッパが占めている。

アジアは日本のみ。三角形にこだわった徳田サネヒサや、特異な
ファッションで一時期バラエティ番組に引っ張りだこだった大屋
政子さんが取り上げられている。

ヨーロッパが主体の為、宗教に端を発した奇行も多い。柱頭の上で
片足だけで過ごすとか、自分の体を無知で打ち続ける苦行とか。
ならば、仏教の修行者の即身成仏も奇行に入るのかな?

本書ではわずか3行ほどしか触れられていない「チフスのメアリー」
なんてメアリー本人にはなんの罪もないんだけどな。ただ、チフス
菌の健康保菌者であったと言うだけなんだものな。

また、時代が変われば奇行も変わるで、世界一周が奇行とされた
時代もあったのだね。

「奇行」で括ってしまうにはどうか?と思ったのは、不治の病で
クリスマスを迎えられないだろう妻の為に、市長や町の人たちを
巻き込んで11月に町中をクリスマスにした男性のお話。不覚にも
ほろりとした。

「どうしてそうなった?」と思う人生がぎっしりと詰まった大作
である。通読しなくとも、折々に拾い読みする方がいいのかも。

尚、イギリスとドイツに対する揶揄がところどころに出て来るのは
著者がフランス人のせいか。

 

 

万国奇人博覧館 (ちくま文庫)

万国奇人博覧館 (ちくま文庫)