教育は誰のものか
オウム真理教事件関連の死刑囚6人の刑が執行された。先の7人の
執行に続き、今日も「執行手続き」の速報テロップがテレビ画面に
表示されるなんて異常だ。
面従腹背とは…表面は服従するように見せかけ、内心では反対する
こと。
著者の前川氏は38年間に渡る文科省官僚時代、この言葉を座右の銘
としてきた。
それは、大枠から見たらささやかな抵抗かもしれない。どうせ
なら内部にいるうちに告発してくれればと思うこともないとは
言えない。
ただ、政治家などからのさまざまなな圧力にさらされながらも、
どうしても譲れない部分でご自分の意見を貫いたのは理解できた。
そして、前川氏のようにささやかな抵抗を続けている官僚は、
どの省庁にも少なからずいるのではないか。
教育基本法の改正、八重山教科書問題、国旗・国歌法の制定、
そして道徳の教科化。一連の流れを本書で振り返ってみると、
いかに教育が歪められて行っているのが分かるし、うすら寒さ
さえ感じる。
おかしいと思うんだよ。道徳の教科書にパン屋を登場させたら
検定が通らなくて、和菓子屋に変えたら検定パスって。
日本の伝統がどうたらこうたらって言っている政治家たちって
どうせ明治以降のことしか「伝統」と思ってないんだろうな。
こんな人たちが教育に口を出して圧力をかけてるのだものな。
「教育勅語」復活も近いのかもしれないと思うとぞっとする。
教育って為政者の為、国の為のものじゃないんだよな。その辺り
をはき違えている政治家が多いのだろうか。
尚、第4章に収められている座談会は加計学園の何が問題なのか
が分かりやすく語られているので非常に参考になった。