あなたは今でもチェの夢を見ますか?

アメリカは黒人が大統領になっている。奴隷が大統領になるなんて
考えもしない」
「日本がアメリカの51番目の州になることについて憲法上、どのような
問題があるのか、ないのか」

はぁ…またですか、自民党さん。今度はタレント弁護士から参議院議員
なった丸山和也センセイですよ。

ご本人曰く「誤解を招く表現だった」そうだが、黒人=奴隷ってことでしょう。
どう誤解しろって?国際問題に発展しないことを祈りたいわ。

参議院ってさ、「良識の府」じゃなかったっけ?「看板に偽りあり」だわ。
ま〜た谷垣幹事長が頭を下げる羽目になるのかしらね。お気の毒。

チェ・ゲバラの記憶』(フィデル・カストロ トランスワールドジャパン)
読了。

チェ・ゲバラフィデル・カストロアメリカの傀儡であったバティスタ政権を
倒し、キューバ革命を成し遂げた両雄だ。革命英府樹立後、ゲバラは要職
についたものの、自身の信念である「国際的な革命闘争」を実現する為に
キューバを離れる。

本書はゲバラの不在について様々な噂が流れる中でフィデル・カストロ
行った演説に始まり、ボリビアでのゲバラの死、追悼、『ボリビア日記』(日本
では『ゲバラ日記』)初版の序文、ゲバラの遺体のキューバへの帰還等々、
カストロゲバラについて語った演説や文章を年代順に編集している。

メキシコでの出会いからゲバラキューバを離れるまでの12年間。彼の
そばでその人柄や思想、信念に触れて来たカストロだからこそ語れる
ゲバラへの思いが詰まっている。

ゲバラの不在についての章で、カストロは演説の中でキューバを後にする
にあたってゲバラが残した「フィデルへ」で始まる手紙を読み上げているの
だが、この内容がたまらなく素晴らしい。出会いからキューバ革命に至る
までに二人の間に生まれた深い信頼関係が凝縮されている。

この手紙を、演説ではなく初めて読んだ時のカストロの心情に思いを馳せ
てみる。きっと僚友が離れて行く寂しさと共に、革命への強い信念や同志
たちへの限りない愛情を感じたのではないだろうか。

圧巻なのはボリビアから伝えられたゲバラ死亡確認の演説と、『ボリビア
日記』出版に関してボリビア側から出て来た「偽物だ」との指摘に反論する
演説だ。

これはゲバラ好き、カストロ好き、ひいてはキューバ好きの人には是非とも
読んでもらいたい。今でも少なくない人々を惹きつけるゲバラ。その魅力
カストロの語る言葉によって益々輝いているようだ。

「私は今でもチェの夢を見る」。1987年に行われたイタリア人ジャーナリスト
のインタビューのなかで出て来たカストロの言葉だ。

2008年にすべての要職から退き、近年では公の場に姿を現すことが少なく
なったフィデル・カストロ。既に89歳だ。

フィデル、あなたは今でも志半ばで倒れたチェの夢を見ますか?