朝鮮人って悪いことなん?

富裕層がますます富めば、富が下層にこぼれて来るってのが
アホノ…じゃなかった、アベノミクスじゃなかったっけ?

今を時めく経済学者のピケティ氏が「トリクルダウンは
成功したためしがない」と批判したら、「アベノミクス
トリクルダウンとは違う」と言い始めた。

我が国の首相、頭は大丈夫か?で、アベノミクスって本当は
何よ?

『ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件<ヘイトクライム>に
抗して』(中村一成 岩波書店)読了。

強い怒りを感じると同時に、胸元に匕首を突き付けられた
気分になった。

平日の昼間。子供たちが学ぶ学校の前で拡声器を通じて
ありとあらゆる罵詈雑言をがなる。在特会を始めとした、
ヘイトスピーチをまるでリクレーションやエンターテイ
メントのように楽しむ人々。

標的にされたのは京都第一初級朝鮮人学校だった。レイシスト
たちが口にする言葉は、まるで関東大震災後の朝鮮人虐殺の
頃に時代が戻ったようだ。

そう、何も違っちゃいない。実際に朝鮮人や沖縄の人が殺害
された関東大震災後の虐殺と、子供たちや保護者、教師、卒業
生の心に深い傷を植え付けたヘイトスピーチアイデンティティ
の虐殺ではないか。

本書は度重なる朝鮮学校への街宣活動から法廷闘争と、その後
までを描いているのだが、その中で戦後の日本が行って来た
民族差別の様が紹介されている。

日本は半島の人々から文化を奪い、言葉を奪い、名前を奪った。
それは過ぎ去った昔の話ではない。ネット空間には在日著名人
リスとなるものが書き込まれていたりする。

自分で選ぶことの出来ない出自が罪なのか。そんなことはない。
国籍が、肌の色が、宗教が違っても同じ「人間」であることに
変わりはない。尊重されるべき「人権」があることに変わりは
ない。

ないはずなのに、特定の人々に対してのみ向けられる根拠の
ない憎悪はどこから生まれるのか。それはただの憂さ晴らし
なんじゃないのか。

先日亡くなった統一ドイツ初代大統領ワイツデッカー氏は
ナチス・ドイツの過去と正面から向き合い、過去をありの
ままに見つめる勇気を持つよう説いた。しかし、そのドイツ
でも排外主義者が現れている。

過去と向き合うことをしてこなかった日本は、今こそ自身の
過去を、そして現在を見つめ直すべきじゃないのか。

テレビニュースで流れるヘイトスピーチの様子には吐き気さえ
覚える。だが、私自身はいかれたレイシストたちにきちんと
対峙出来るのだろうか。レイシストたちが汚い言葉をまき散ら
している時に、私は何をしていた?

朝鮮人って悪いことなん?」。襲撃された学校に通う子ども
が、保護者に訊ねた言葉だ。こんな言葉を子供が口にしなくて
もいい社会でなくてはいけないのにね。